サヴォワ地方には、スイス・ロマンド(スイスのフランス語圏)に起源を持つ料理が根付いた。そのひとつがチーズフォンデュ。にんにくで香りを付けた鍋に入れたチーズを白ワインで溶かし、パンや野菜に付けて食べる料理で、かつてこの料理は、家畜の群が農場まで下りてきて、飼い主や農場経営者が集まる秋〜冬に主に食されていた。

チーズのローストとも言えるこの料理は、中世、スイスの牛飼いによってもたらされた。フォンデュを半円の器に移し、薪で起こした火でチーズを溶かしたもので、器のチーズを剥がし、皿に盛られたじゃがいもなどにチーズをかけて食べる。この料理、ラクレット (raclette )が知られるようになったのは、主に20世紀になってからとされる。

サヴォワとボルヌを代表する円筒形をしたウォッシュタイプのチーズで、サイズは直径14cm、厚さ3-4cm、重さ500gほど。薄く黄ばんだ色をした外皮が、柔らかく味わい深い中のチーズを包み込んでいる。その名前は、後から搾った濃い牛乳から作った“二度絞り”に由来し、高品質を保証するA.O.C対象チーズでもある。